コラム「月曜日の絶望的な気持ちを乗り越えるには!」

菱川昭彦

月曜日、憂鬱(ゆううつ)な思いになって仕事に向かう人は、意外と多いと思います。私もその一人です。

何を売りに行くの?

私は東京にある、特殊化学品を扱う商社の営業マンをしています。けれど私は、高校から大学まで農業専門校だったので、化学を勉強したことがないんですね。

むしろ、野菜などの缶詰の作り方とか、ソーセージの作り方とか、いろいろな食品技術を学びました。

化学というのがいかなるものかもわからずに今の会社に入社して、4年たちます。毎週月曜の朝になると、私はほんとうに仕事に行くのが嫌なんです。何しろ、今から自分は何を営業するのかわからない。常に新しい化学品が出てくるので、それが一体どんな性質なのか、私にはわからないんです。

お客さんは、メーカーの開発部門の方で、プロです。その人たちを相手に営業するわけです。

満員電車に揺られて毎日職場に行くんですけれど、いつもカバンの中に、聖書の言葉が抜粋された本を入れています。それを握りしめながら通勤中、ずっと心の中で、「神様」と祈りながら行きます。

毎日そういう思いで、その通勤の1時間ほどの間に、不安に押しつぶされないように祈ります。

そして仕事が始まると、「もうやるしかない!」と、とにかく行動します。たとえば、製紙会社が熱に強い化学品を使って断熱材のような紙製品を作りたい。そんな時、何人ものメーカーの開発のプロと恥をかきながらやり取りしている間に、相手が求めていることや、その化学品について学びます。

体当たりでぶつかってみて得た情報を、ビジネスにつなげます。そして金曜日には、売り上げを出し、何とか今週も過ぎ越すことができた、という感謝の気持ちでいっぱいになるんです。

化学品業界は、米中の貿易戦争にものすごく影響を受けています。そういった世界情勢の中で、私の会社自体、目標の売り上げを達成するのは厳しいですが、キリストにすがっている私が、自分では到底超えられないと思っていたノルマを超えたことがありました。

上司は、無知な私が売り上げを達成したので驚きました。けれど私の秘訣(ひけつ)は、通勤の1時間、ひたすら祈ること。ただそれだけです。

やみの中の光

今年はコロナ禍の影響で、さらに厳しい現実の中にいます。化学品を扱う業界はどこも大打撃を受けています。そして、商社はいつも企業間の板挟みで、外資系の化学品メーカーがとんでもない値上げをしてくることもあります。

目標を達成したかと思えば数千万円の契約を打ち切られたり、何の前触れもなく発注をキャンセルされたりと、ピンチだらけです。

問題を抱えている時の出社ほど、つらいものはありません。それでも月曜日はやって来ます。そのような時に、聖書の言葉はほんとうに私の力となります。

この言(ことば)に命があった。そしてこの命は人の光であった。光はやみの中に輝いている。そして、やみはこれに勝たなかった。

ヨハネ福音書1章4~5節

「神様、この聖句を実現させてください。私の心は暗やみのようです。心にあなたの太陽を昇らせてください」

そうやって祈っていると、私の心からエネルギーがわき起こってきます。もちろん、祈っていつも問題が解決されるわけではありません。だからこそ、今の状況を、襲ってくる困難を、乗り越える力が欲しいんです。

そして、私が慕い、仰いでいるキリストは、求める者に力を与えてくださるお方なのです。

菱川昭彦

32歳。休日は2歳の息子と釣りや虫捕り、キャンプを楽しむアウトドア派。


本記事は、月刊誌『生命の光』820号 “Light of Life” に掲載されています。